アルミ風船による運転見合わせとテロ等準備罪(共謀罪)の微妙な関係

(写真の女の子は全く関係ありません)

夜の報道番組で、今日(日付としては昨日)のニュースとしてこんな話題がありました。

「京急線で架線にアシカの形のアルミ風船🎈が引っかかっているのが見つかり、運転見合わせ」

記事は以下の読売をご参照。

12日午前8時頃、横浜市南区井土ヶ谷中町の京急線井土ヶ谷駅ホームで、架線にアルミ風船が引っかかっているのを駅員が見つけた。 同線は上大岡―横浜駅間の上下線で運行を約40分間見合わせた。

引用元: 架線に風船、京急40分運転見合わせ…2人搬送 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

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アルミ風船と共謀罪:思い付きの組み合わせ

まぁたまにあるよね。外から飛んできたアルミ風船…って言っていたけど井土ヶ谷って八景島シーパラダイスからは離れているような? ・・・なんて思っていたら、次のニュースは(いわゆる)共謀罪について、という事でした。

そこで考えた。

 

「みんなでアルミ風船🎈を持ち寄って、駅(前)で飛ばそうぜ!」

 

こういった相談をした場合(いわゆる、以下略)共謀罪で処罰される事があり得るのだろうか? と。

風呂にも入りましたが、どうにも頭から消えてくれないので、眠い頭で少しだけ勉強してみました💤

 

 

これまでの理解レベル

これまでの私のニュースを聞きかじったレベルでの共謀罪の知識は以下の通り。

それぞれの言い分(恐らくこんな感じ)

  • 政府与党
    • 国際組織犯罪防止条約の締結のために必要で、これがテロ対策になる。
    • 組織的犯罪集団が共謀した場合が罪になるので一般国民は対象にならない。
  • 野党
    • 同条約はそもそもテロ対策ではない。
    • 政府法案では、対象犯罪が広すぎ、一般国民も対象になりかねない。
    • 共謀罪が監視社会につながる。

 

正直法案の全文を熟読したわけではないので、理解は話半分に近いですが・・・ざっと法務省と民主党のHPを両方眺めると、いずれにせよどちらも主張に一定の飛躍があるように感じられます。

法務省側では、野党の指摘のように対象犯罪の広さ。野党側では、即監視社会になると謳う事、など。

 

 

テロ等準備法案の条文抜粋

では実際にどのような法案なのか、法務省HPを覗いてみましょう。

ここではあくまで私のアルミ風船🎈に対する疑問を解消することが目的です。。

 

テロ等準備罪処罰法案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第6条の2

1 次の各号に掲げる罪に当たる行為で,テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち,その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第3に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動*として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は,その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配,関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは,当該各号に定める刑に処する。

*団体の活動:団体(共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって,その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するもの 〔第2条第1項・第3条第1項〕

引用元:法務省HP (色付けは管理人が加工)

 

ほうほう、これが政府答弁によく出てきた組織的犯罪集団とは 絡む文章ですね。テロ等準備罪は組織的犯罪集団が対象なので一般国民は対象となりえない、とよく仰っていたと思われます。

ここでは組織的犯罪集団は、別表第3に掲げる罪を実行することが目的の集団である、と定義されています。

 

テロ等準備法案の構成要件

私が上の法案から読み取った、テロ等準備罪の構成要件は次の3点です。

  • 組織的犯罪集団=別表3<新設> の犯罪行為が目的である集団が、
  • 何らかの行為を組織的に行い、その活動の効果・利益が団体のためになり
  • その計画の実行を準備した場合

 

これを基にアルミ風船の例を考えてみたいと思います。

 

 

テロ等準備材は現行法の改正で構成

まずは前段から。そもそも、共謀罪=テロ等準備罪の正式名称は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」となっていました。ここで法案を読み解くのに、ベースとなっている「組織的~(以下略)法律」 が必要になってくるのですね。

ちなみに全文はこちらから読めます。(法令検索システム、好きな人は好きかも)

 

この今ある法律を改正し、ざっくり言えば

  • 対象犯罪を追加
  • 犯罪行為の準備行為を行ったら処罰しますよ

という項目を付け加えたものがテロ等準備罪の構成になっています。



対象として追加される犯罪の例(別表3とは?)

さて、では上で出てきた別表第3とは何でしょうか?現行法では、別表は1つのみ。ざっと対象は85項目の罪が挙げられています。

それに対して別表第3では・・・すみません、数えるのはやめました。読めない。。多い。。

こちらの法務省のHPの新旧対照表を読んでみましょう。

 

 

アルミ風船を集団で飛ばす:そもそも何罪?

さて、私の目的は、アルミ風船🎈を飛ばす 事を決めた集団が処罰されえるのかどうかです。

この行為が問題視されるとすれば、あり得るのは 刑法第百二十五条ですかね。その条文は以下の通りです。

(往来危険)
第百二十五条 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。

wikipediaによると、その「危険」の定義は以下のような判例があるようです。

最判昭和36年12月 1日 電車往来危険罪における危険とは、電車の顛覆、衝突等の事故発生の可能性ある状態をいう。

転覆・衝突ともなるとそれは大事故ですね。故意にこれを引き起こそうとする人は罰せられて当然と考えます。

 

一方でこれまでのニュースでは次のような逮捕例もあります。

恐らくこれは踏切に三脚を置く⇒ 電車が乗り上げて大事故に発展する危険がある、という観点から、やっていることは置き石とそう変わらないぞ、と警察から撮り鉄の皆さんに対する警鐘の意味もこめた逮捕だったのでしょう。

 

ここでは先述のwikipedia にあるように、アルミ風船を飛ばしてショートさせることによる危険が ”電車の顛覆、衝突等の事故発生の可能性ある状態” と判断されるのかどうかが一つポイントになると考えます。

 

 

刑法第百二十五条はテロ等準備罪の対象犯罪に追加される

さて、改めて現行法と、改正案の 別表第3(追加)を見比べると次の事実が分かります。

現行法:刑法第125条は対象に無い
改正案:刑法第125条が対象となる

 


まぁ、考えてみればここで列車往来危険を入れようとする、政府側の意図は理解しやすいですね。テロ集団が狙う対象として、イベント会場や飛行機、それに列車なんていうのは、人が沢山集まっているところで狙いやすいでしょうし・・・。

かつ、日本の列車のセキュリティなんてがばがばですので、そこは対象に入れるべきなんだ! と言われれば「おぉそうだな!」となること請け合いです。

 

ところが、この規定のままでは、もしアルミ風船を飛ばす=架線/列車をショートさせる、という事が往来危険だ!と判断された場合には、テロ等準備罪の構成要件のうち1つをクリアすることとなるでしょう。

 

 

ではアルミ風船を集団で飛ばすのはどうか?組織的犯罪集団か?

さて、もう一つのテロ等準備罪の構成要件は「団体」でその行為が計画されるか否かです。

ポイントは2つ。

・そもそも組織的犯罪集団にあたるか

・団体の活動として認められるか。

*団体の活動:団体(共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって,その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するもの 〔第2条第1項・第3条第1項〕

引用元:法務省HP (色付けは管理人が加工)

 

前者は、上記の別表3に列車往来危険が入ることで、風船を駅で飛ばす事= 列車往来危険を引き起こす事、と警察が判断するとこの集団は組織的犯罪集団に認定されかねないものと考えます。

後者について、それぞれ要件に合うかを見ていきましょう。

 

多数人:これはそのあとの条文で2人以上で計画をしたものは、とありますのでクリアですね。

その目的~(略)~反復して行われるものこれが今回の例では難しいかもしれません。そもそも集団の目的が、犯罪を起こそうとすることをベースに集まった集団であるという前提があるので、その組織の目的を達成するための行為の反復があるかどうか・・・

ここは主観が入りそうです。 「そもそも🎈を駅で飛ばすのは、列車妨害を起こすために違いない!」!と捜査機関が思えばそれで充分クリアする疑いが生じます。

その効果・利益が~団体に帰属する: これも主観論となりそうです。効果・利益とは何かが定義されていない以上、例えば手紙のやりとり、気分の高揚、なにを効果とでも言える気がするのは、うがった見方をしているのでしょうか・・・。

 

やはり、これもテロ等準備罪の構成要件を満たしかねない 状況にあるのではないかと考えます。

 

 

まとめ

色々と眺めた結果、私の結論としては次のようになります。

捜査機関の判断次第では、アルミ風船を集団で駅で飛ばそうと仲間内で話をした場合には、テロ等準備罪に問われる可能性がある。 かな。

 

今回とても変な事案を考えましたが、やはり広く対象案件が残っていることで、一般人でも巻き込まれかねないという案件が相当数含まれているのではないかと思います。今の法案。 (民進党はキノコ採集とかも対象になるぞ!と広報していますね)

 

アルミ風船を駅に飛ばしに来る人達がどれくらいいるかはさておき・・・・

 

というかさ、本当にこれ駅前広場とかではなく駅の構内で実行したら、首都圏の列車なんて20人くらいで全部止められるよね・・・?

これは共謀罪云々よりも早く、アルミ風船は線路・駅への持ち込み禁止としたほうが良いのではないだろうか。メトロさんはまだしっかり持てばよいとなっているようですが。。。

東京メトロ 安全ポケットガイド
東京メトロ – 安全ポケットガイド (2013年度改定)

駄文お付き合いいただきありがとうございました。

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投稿者: らぱすK

陸マイラーを始めてみました。

目指すは 8100万マイル…!(笑)なんでも太陽までの距離だそうです。

(ニックネーム、しっくり来ていなかったので変更しました。前も今も、行ってみたい場所!・・・と変えてからHPの名前にイニシャル入れていたのでした。)

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